企業再生、事業再生には二つの段階がある

 企業再生、事業再生には二つの段階があると考えられます。第一段階は、過剰投資・過剰債務に陥っている企業に対するバランスシート調整を中心とした「応急手術」的な処置を行う段階です。一方、「応急手術」を施すまでに、すでに事業そのものが傷んでいる場合は、第二段階として経営戦略や経営のあり方、組織、人材等、ビジネスそのものを立て直し、必要な投資も行って本来的な事業競争力・収益力を回復させる「根治治療」的な処置が必要となります。

 バブル崩壊から10年以上たった今、多くの日本企業は、少子高齢化など中長期的に生産力と消費力の両方を低下させる根深い社会経済的なトレンドのもと、需要の不足と収縮に苦しんでいます。そこで過剰債務に長年にわたり苦しんできた企業は、せっかく素晴らしい素質を持っていながら、人材面、設備面での先行投資が十分にできなかったこともあって、本体の事業そのものが競争力を失いつつあり、「応急手術」だけでは問題は解決し得ない場合が多くなっています。むしろその企業の底力として維持、継承されるべき技術、人材、ノウハウが朽ち果てかかっているケースさえ数多く散見します。

 こういった企業や事業を完全治癒させるためには、まず一刻も早く過剰債務、過剰資産の整理・調整や経営体制の整備などの「応急手術」によって、「根治治療」を開始する前提条件を整えなくてはなりません。また、それと同時に、当該企業や事業が従来の延長線上でより明確な競争優位を再構築する、あるいは従来の事業モデル、戦略モデルを大幅に組み替えて新たな付加価値を取り込み、新市場を開拓していくと言った再建戦略、再建計画を速やかに策定・実行する「根治治療」への取り組みも開始しなければならないのです。

 そこで、具体的に問題となるのが、「応急手術」段階での複雑な利害関係の調整、そして「根治治療」に向けた「お金」・「戦略」・「人」の不足です。調整機能については、機構の性格上、関係者の皆様のため、大いにお役に立てるものと考えておりますし、「お金」についても、産業再生機構は金融機関からの債権の買取り等を通じて強力にサポートいたします。「戦略」・「人」については、大胆にしてリアルな戦略的発想力と、その実行を担うマネジメント人材の両方が必要となりますが、機構においては、戦略的視点から当該企業や事業を見つめ、詳細を分析し、戦略的再建シナリオを構築するプロセス、さらにはそのシナリオを実現するためのスポンサー問題や経営人材と言った問題などに対し、できる限りの支援を行うことで、効果的な再生に寄与したいと考えております。

 産業再生機構は、実践的な再生支援機関として、机の上で「判定」するのではなく、現場に身を置き、当該会社の再建に意欲を燃やす皆様と共に叡智を絞り、汗をかき、再生のための努力を惜しみません。

 悩みを抱える金融機関、そして事業会社の皆様、まずは産業再生機構にご相談ください。一刻も早く前向きな意味でのリセットを行い、未来に向けて再び「人」「モノ」「金」の先行投資を再開し、根源的な競争力を回復させましょう。日本企業とそこで働く人々がもつすばらしい素質を次の世代に伝えるためにも。

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